Javaでの開発を始めようとした際、多くの人が最初に抱えるのが「JDKはどれを選べばよいのか?」という疑問です。
OpenJDKとOracleJDKの違いには、見た目や機能だけでなく、ライセンス形態やサポート体制、コストなどの点でもいくつかの特徴があります。
本記事では、それぞれのJDKについて基本的な情報をわかりやすくご紹介し、目的に応じた選択の参考になる情報を提供していきます。
JDKとは?なぜ必要なのかを簡単におさらい
JDK(Java Development Kit)は、Java言語でアプリケーションを開発するために必要な一連のツールがまとめられた開発キットです。
Javaソースコードをコンパイルしたり、実行したりする際に使うjavacやJava Virtual Machine(JVM)などが含まれており、開発には欠かせない構成となっています。
Javaアプリケーションを単に実行するだけであれば「JRE(Java Runtime Environment)」でも可能ですが、プログラミングやソフトウェア開発を行うにはJDKの導入が前提となります。
以下は、JDKに含まれる主なコンポーネントの一例です:
- javac:Javaソースコードをバイトコードに変換するコンパイラ
- java:コンパイルされたJavaプログラムを起動・実行するためのコマンド
- javadoc:Javaコードに記述されたコメントからドキュメントを生成するツール
- jdb:Java用のコマンドラインデバッガ
Javaの開発を始めるには、これらのツールが含まれるJDKを適切に選択することが基本的なステップといえます。
OpenJDKとOracleJDKの基本情報
現在Java開発で主に利用されているJDKとしては、「OpenJDK」と「OracleJDK」の2つがよく挙げられます。
どちらもJava SE(Standard Edition)の仕様に準拠しており、基本的な機能に関しては共通点が多く見られます。
ただし、それぞれの配布元やライセンス条件などに違いがあるため、目的や利用環境に応じた選択が重要です。
OpenJDKとは?
OpenJDKは、2006年にSun Microsystems(現在はOracleが保有)によってオープンソースとして公開されたJavaのリファレンス実装です。
現在ではRed Hat、Amazon、Eclipse Foundation(Temurin)など、複数の組織によって独自ビルドが提供されています。
オープンソースライセンスのもと、広く自由に利用できる点が特徴で、Linuxサーバーやクラウド環境での採用事例も見られます。
OracleJDKとは?
OracleJDKは、Oracle社によって公式に提供されているJDKで、長期にわたり多くの企業で採用されてきた経緯があります。
商用サポートを前提としたライセンス体系が用意されており、Java 11以降は商用での利用には契約が必要なケースがあります。
サポート体制や配布ポリシーが整っている点から、エンタープライズ用途で選ばれる場面もあるようです。
共通点について
Java 11以降のバージョンでは、OpenJDKとOracleJDKの実装における違いが少なくなっており、基本的な機能やビルド構成に大きな相違は見られないという見方もあります。
たとえば、Flight RecorderやMission Controlなどのツールが両方に実装されているケースもあり、一般的な開発用途ではどちらでも対応可能な場面が増えています。
OpenJDKとOracleJDKの主な違いを比較表で確認
ここでは、OpenJDKとOracleJDKの違いをよりわかりやすくするために、主な項目を比較表としてまとめてみました。
項目 | OpenJDK | OracleJDK |
---|---|---|
提供元 | コミュニティ(Red Hat、Adoptium など) | Oracle Corporation |
ライセンス | GPLv2 + Classpath Exception | Oracle Binary Code License(商用利用は契約が必要) |
利用料金 | 無償で利用可能なケースが多い | 商用用途では有償になることがあります |
サポート体制 | ベンダーや自社サポートが中心 | Oracleによる商用サポートあり |
機能差 | 基本的な部分はOracleJDKと類似 | 一部追加ツールや最適化が加えられていることも |
このように、どちらもJava SE仕様に基づいているため、基本的な開発には大きな差がないという点は共通しています。
ただし、ライセンスやサポートの有無、導入体制などが異なるため、使用環境やプロジェクトの規模に応じて比較・検討していくことが望ましいです。
どんな人にどちらがおすすめ?選び方のポイント
OpenJDKとOracleJDKは、それぞれに異なる特徴があります。以下は、用途や目的別に選定の参考となるポイントをまとめたものです。
- 学習・個人開発目的の場合:OpenJDKの利用が多く見られます。複数のディストリビューターから無償提供されており、試しやすい環境です。
- 商用システム・企業利用の場合:安定したサポートが求められるケースでは、OracleJDKの商用サポート体制が一つの選択肢になることがあります。
- Linuxやクラウドベースの開発の場合:Red HatやEclipse Temurinなど、OpenJDKベースのJDKがOSと連携して導入されるケースもあります。
いずれのJDKを使うにしても、ライセンス条件や利用用途について確認しながら進めることが重要です。
人気のOpenJDKディストリビューションも紹介
OpenJDKは複数の組織が独自にビルド・配布しており、それぞれ特色のあるバージョンを提供しています。
以下は、現在利用されることのあるOpenJDKディストリビューションの一部です。
- Eclipse Temurin(旧AdoptOpenJDK):Eclipse財団が提供する信頼性の高いディストリビューションで、幅広いOSに対応しています。
- Amazon Corretto:AWSが提供するOpenJDKのビルドで、商用利用でもライセンスフリーで使用できる点が特徴とされています。
- Red Hat OpenJDK:Red Hat Enterprise Linux(RHEL)環境向けに最適化され、公式にサポートが提供されています。
これらのディストリビューションは、いずれもJava SEに準拠したものであり、機能面で大きな違いがあるわけではありません。
どのディストリビューションを使うかは、導入環境や既存のシステム構成との親和性を考慮して選ぶことが有効と考えられます。
実際に使ってみよう!JDKのインストールと環境変数設定(初心者向け)
JDKを選んだら、次のステップは実際にインストールして開発環境を整えることです。
ここでは、初心者の方でも取り組みやすいインストール手順と、JAVA_HOME・PATHの設定方法について、WindowsとmacOSの両方を簡潔にご紹介します。
Windows環境の場合
- 1. 使用したいJDKの配布元(例:Eclipse TemurinやOracle公式サイト)からインストーラーをダウンロード
- 2. インストーラーを実行し、指示に従ってインストール
- 3. インストール後、JDKのパスを控えておく(例:C:\Program Files\Eclipse Adoptium\jdk-17)
- 4. 「システムのプロパティ」→「環境変数」から「JAVA_HOME」を追加
- 5. 「Path」に「%JAVA_HOME%\bin」を追記
設定完了後、コマンドプロンプトを開き java -version
または javac -version
を入力して、バージョンが正しく表示されれば完了です。
macOS環境の場合
- 1. Homebrewを使って以下のコマンドでJDKをインストール:
brew install --cask temurin
(例:Eclipse Temurin を使用する場合)- 2. ターミナルで以下を実行して環境変数を設定:
export JAVA_HOME=$(/usr/libexec/java_home)
- 3. 上記を
~/.zshrc
などに追記しておくと再起動後も反映されます
設定後、java -version
で確認してみましょう。
まとめ|どちらも特長あり、目的に合わせて選択を
ここまで、JDKはどれがいいのか?というテーマで、OpenJDKとOracleJDKの違いや特徴、そして選び方やインストール方法までをご紹介しました。
重要なのは、どちらのJDKにもそれぞれの利点があり、利用目的や環境に応じた選択が求められるという点です。
以下のような観点から選ぶのが一般的です:
- コストやライセンス条件を重視するか?
- 商用サポートが必要かどうか?
- どのOSや開発環境で使うか?
特定のJDKが「唯一の正解」となるわけではありませんが、この記事を通して、読者の方がそれぞれのJDKを比較検討する際の一助となれば幸いです。
Javaは今なお現役で活躍するプログラミング言語の一つであり、JDKの選択がその第一歩となります。
これからJavaに取り組む方や、JDKの見直しを検討している方にとって、今回の情報が参考になれば嬉しく思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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